基本情報技術者試験の過去問と解説
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平成23年 春期 基本情報技術者 午後 問06
問06   5問選択

 EVM によるプロジェクトの進捗管理に関する次の記述を読んで,設問1〜3に答えよ。

 ソフトウェア開発会社の D 社では,Web アプリケーション開発プロジェクト (以下,プロジェクト P という)の進捗管理に EVM(Earned Value Management)を活用することにした。

〔EVM についての説明〕

(1) EVM では,出来高計画値 PV(Planned Value),コスト実績値 AC(Actual Cost)及び出来高実績値 EV(Earned Value)といった三つの指標を用いて,プロジェクトの コスト及びスケジュールを管理する。

(2) PV は,計画時にプロジェクトの各工程での作業に割り当てられたコストの計画値であり, AC は,各工程での作業実行後のコストの実績値である。EV は,各工程の実行過程での 進捗度をコストに換算した実績値であり,その時点での計画作業の完成率に PV を乗じた値である。

(3) EV と AC , EV と PV それぞれの差をとることで,プロジェクトのある時点での計画値と 実績値との差異を把握できる。 EV と AC との差 ( EV - AC )をコスト差異 CV (Cost Variance)といい,EV と PV との差( EV - PV )をスケジュール差異 SV(Schedule Variance)という。

(4) プロジェクトのある時点での計画値と実績値との差異を測る別の指標として, コスト効率指数 CPI(Cost Performance Index)とスケジュール効率指数 SPI(Schedule Performance Index) の二つがあり,次の式で求められる。

        CPI = EV/AC
        SPI = EV/PV

(5) “CV が0,すなわち CPI が1の場合は,計画どおりのコストでプロジェクトが進捗している。”, “CV が正,すなわち CPI が1を超える場合は,計画よりも少ないコストで進捗している。”, そして,“CV が負,すなわち CPI が1未満の場合にはコスト超過である。”と判断できる。

 同様に,“SV が0,すなわち SPI が1の場合は,プロジェクトが計画どおりのスケジュールで進捗している。”, “SV が正,すなわち SPI が1を超える場合は,計画よりもスケジュールが早まっている。”, そして, “SV が負,すなわち SPI が1未満の場合は,スケジュール遅延である。”と判断できる。

〔プロジェクト P の説明〕

(1) プロジェクト P では 40 個の機能の開発が必要であり,その開発スケジュール及び コスト計画は,表1のとおりである。

 なお,ここではコストを表す単位として工数を使用する。

  表1 プロジェクト P の開発スケジュール及びコスト計画

(2) 表1中の機能数とは,各月に作業を予定している機能の個数である。

 なお,各機能はそれぞれ独立している。

(3) 表1中の標準工数とは,開発するアプリケーションの1機能当たりに予定される工数である。 計画工数は,標準工数×機能数で算出する。 (4) プロジェクト P の1〜3月の開発実績は,表2のとおりであった。

   表2  1〜3月の開発実績

 2月に計画していた外部設計 10 機能のうち,5機能は計画どおりに2月に完了した。 しかし,残り5機能については,2月途中に要件見直しの要請があり,外部設計が計画よりも遅れ, 3月末に完了した。

設問1 表3及び表4は,プロジェクトPの途中段階での各指標( PV,AC,EV )の値を, 工程別に示したものである。表3は2月末時点の値(1月と2月の合計)であり, 表4は3月末時点の値(1〜3月の合計)である。 表中の に入れる正しい答えを,解答群の中から選べ。

 なお,AC は各月での工程別の工数の実績値を基に算出している。

   表3 2月末時点での各指標の値
    PV  AC  EV
外部設計  1,400  1,200   
内部設計  1,000  1,050  1,000

   表4 3月末時点での各指標の値

    PV  AC  EV
外部設計  1,600  1,600  1,600
内部設計     1,260  1,200
実装     750   625   750

a に関する解答群

ア 1,000     イ 1,050     ウ 1,200     エ 1,400

b に関する解答群

ア 1,200     イ 1,400     ウ 1,600     エ 1,800

解答 a ←クリックすると正解が表示されます

解答 b ←クリックすると正解が表示されます

基本情報技術者試験


設問2 次の記述は,プロジェクト P の3月末時点でのスケジュール差異及びコスト差異の 分析について述べたものである。 に入れる正しい答えを, 解答群の中から選べ。

 なお,各値は小数第3位を四捨五入するものとする。

 スケジュールの進捗に関して,表2の結果から,内部設計はスケジュール遅延を起こしていることが 明らかである。残りの外部設計と実装に関して,SV を用いてスケジュール差異の分析を行うと, ことが分かる。

 次に,工程別のコスト差異を分析する。CV の値は, が負であり, コスト超過になっているが, が正であり,計画よりも コスト低減されている。プロジェクト全体では,CPI が であり, 計画よりもコスト低減になっていることが分かる。

c に関する解答群

ア 外部設計と実装は SV がともに0で,計画どおりのスケジュールで進捗している

イ 外部設計と実装は SV がともに正で,計画よりもスケジュールが早まっている

ウ 外部設計は SV が負でスケジュール遅延であるが,実装は SV が0で計画どおりのスケジュール で進捗している

エ 外部設計は SV が負でスケジュール遅延であるが,実装は SV が正で計画よりも スケジュールが早まっている

オ 外部設計は SV が0で計画どおりであり,実装は SV が正で計画よりもスケジュールが早まっている

d,e に関する解答群

ア 外部設計     イ 内部設計     ウ 実装

f に関する解答群

ア 1.01     イ 1.02     ウ 1.03     エ 1.04

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解答 d ←クリックすると正解が表示されます

解答 e ←クリックすると正解が表示されます

解答 f ←クリックすると正解が表示されます

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設問3 プロジェクト P の今後の予測に関する次の記述中の に 入れる正しい答えを,解答群の中から選べ。

 プロジェクトメンバの努力で開発の遅れは順調に改善し,内部設計は4月半ばに完了し, 実装も4月末までに完了した。その結果,4月のテストも順調に進捗し,スケジュールに関しては, プロジェクト全体として計画どおりに完了できる見込みである。

 次に,コストについて予測する。4月の内部設計及び実装における1機能当たりの工数の 実績値は,それぞれの1月から3月までの実績値と等しく,4月の1か月間での内部設計及び 実装の工数の合計は であった。4月のテストは 計画どおりの工数で進捗した。そこで,5月のテストも計画どおりの工数で進捗すると仮定すると, プロジェクト全体での総コスト(総工数)の予測値は となり, コストに関しても当初の計画値以下で完了できる見込みである。

g に関する解答群

ア 775      イ 795      ウ 850      エ 870

h に関する解答群

ア 5,320      イ 5,480      ウ 5,560      エ 5,600

解答 g ←クリックすると正解が表示されます

解答 h ←クリックすると正解が表示されます


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